幻の広浜鉄道 今福線

島根県

幻の広浜鉄道 今福線のイメージ

 今福線は、広島と浜田を結ぶ広浜鉄道の島根県側のルート として昭和8年、旧国鉄山陰線の下府駅から石見今福駅までが着工されました 。しかし 、工事がほぼ完成した昭和15年、戦争のため中止されてしまいました。
 戦後、今福線旧線とは別に浜田駅を起点とする今福線 新線として工事が再開されましたが、昭和55年、国鉄の慢性的赤字経営の影響により、 再び工事が中止されました。以後、工事を引き継ぐ事業者も現れず未成線として終わり、「幻の広浜鉄道」と呼ばれるようになりました。
 陰陽連絡鉄道の開通にかける先人の努力と希望は、二度にわたる工事凍結により挫折と落胆に変わり、今福線はいつしか負の遺産として記憶されるようになりました。
 その後、数十年の時を経て転機が訪れます。平成10年に発刊された「鉄道廃線跡を歩くV」 で今福線が紹介され、その存在に再び光が当たります。平成20年には公益社団法人土木学会から「今福線コンクリートアーチ橋群」として選奨土木遺産に認定され、その歴史的土木的価値が認められました。
 今福線は、下府駅から石見今福駅の間と旭町丸原地内に 路盤、橋梁、橋脚、トンネル等の遺構が現在も当時の姿をとどめています。この鉄道遺産を価値ある資源として観光交流や地域活性化に活かすべく、沿線地域では様々な活動が行われています。一度は忘れかけられた負の遺産が今に復活し、地域のシンボルとして再び地域をつなぎ、新たな歴史を刻もうとしています。

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JR下府駅(幻の3番線)

島根県浜田市

JR下府駅(幻の3番線)のイメージ

今福線旧線計画のスタート駅です。
現在の2番乗り場のさらに右側(幻の3番線)から橋台や路盤が建設され汽車が走る計画でした。

上府第一トンネル

島根県浜田市

上府第一トンネルのイメージ

長さは35mで今福線旧線で最も短いトンネルです。
すぐ横に県道が開通し閉鎖されるまでは、市道としてトンネル内を車が通行していました。トンネル内ですれ違うことができないので、譲り合いながら通行したそうです。

有福第三トンネルと橋脚

島根県浜田市

有福第三トンネルと橋脚のイメージ

県道の桜並木を過ぎると突然遺構が現れます。対岸のトンネル坑口と橋脚のつながりに未成線の無念さを感じさせます。見学の際は車両の通行にご注意ください。

橋脚群、今福第一トンネル

島根県浜田市

橋脚群、今福第一トンネルのイメージ

旧線では最長の橋梁です。円形の橋脚は川の流水の影響を小さくるためのものです。全国的には舟形や小判型が多く、貴重な存在です。県道を挟んだ山側には橋台と今福線第一トンネルが あり、小山に登ると橋脚群が右にカーブしている様がわかります。

5連アーチ橋

島根県浜田市

5連アーチ橋 のイメージ

現在、県道として使用されています。県道下に降りて眺めると、山側の擁壁と旧線が県道の各片側1車線ずつを構成する面白い構造であることがわかります。石見を象徴するような里山と赤瓦の民家、田んぼがおりなす風景も魅力です。

4連アーチ橋

島根県浜田市

4連アーチ橋のイメージ

今福線アーチ橋群のシンボル的存在。コンクリートアーチ橋は、戦争による鉄不足の時代に多用されたものです。新緑や紅葉の時季には美しい景観に溶け込み、悲運の歴史を今に伝えています。橋の奥に今福第四トンネル、1連アーチ橋があります。

おろち泣き橋

島根県浜田市

おろち泣き橋 のイメージ

この橋の下の1点に立つと、目の前の橋からある音が大きく聞こえる場所があります。4連アーチをおろち(大蛇)の胴体に例え、今福線が開通しないことが決まった日から、おろちがひそかに泣き続けていると地元の人は言います。

第一下府川橋梁と4連アーチ橋

島根県浜田市

第一下府川橋梁と4連アーチ橋 のイメージ

広浜鉄道今福線の最大の見どころでもある「第一下府川橋梁(新線)」と「4連アーチ橋(旧線)」は、新線と旧線が交差し、その遺構を同時に眺めることができる全国的にもたいへん珍しい場所です。
4連アーチ橋は全長62mで昭和13年頃に完成し、第一下府川橋梁は全長86mで昭和46年に完成しました。令和元年に第一下府川橋梁上に転落防止策が設置され、橋梁上への立ち入りができるようになりました。
第一下府川橋梁から眺める4連アーチ橋は、森林に囲まれながらも当時の高い建設技術により存在感を放っており、一見の価値ありです。

下長屋トンネル(金城側)

島根県浜田市

下長屋トンネル(金城側)のイメージ

新線の第一下府川橋梁からつながる、全長1633mもある長いトンネルです。
不思議なことに、入口と出口でトンネルの形状が異なります。金城側からは坑口を見学できます が、トンネル内には入れません。※特別な許可で見学できます。

今福橋梁

島根県浜田市

今福橋梁のイメージ

下長屋トンネル(今福側)から現在市道として使われている路盤跡を東に300m進むと、橋梁(新線)が取り残されたかのようにひっそりと佇んでいます。

寺廻橋梁

島根県浜田市

寺廻橋梁のイメージ

金城町方面から向かって右手の山の中に現れる新線の橋梁です。
寺廻橋梁の中心に、丸原トンネル・白角橋梁・御神本トンネル・御神本橋梁が並びます。
広浜鉄道今福線(新線)の建設は、この旭町の遺構の建設をもって国鉄の財政問題から工事が中止となりました。